ブロロロロロロ・・・・
ショッピングモールを(窓をぶち破って)出た後、
バイクの後部シートに乗せられた晴子は
同じくハンドルを握る日暮と共に公道を疾走していた。
「ちょっと、日暮さん!!
一体どこに向かってるんですかっ!?」
かなりのスピードで疾走(というかむしろ爆走、しかもノーヘル)しているため
ちょっとした言葉を伝えるにも絶叫しなければならない晴子。
「心配するな!ちゃんとヘリを追っている!!」
こちらはよく通る声のせいか、晴子よりも幾分抑えたトーンで
(それでも叫び口調になるのは否めないが)
左手で上を指差しながら答える日暮。
つられて上を見た晴子の視線の先には
確かに先ほどまで乗り込んでいたヘリがあった。
「ハルッ!ここから少し荒っぽくなるから舌を噛むなよ!!」
言うが早いか、日暮は握っていたスロットルを全開でふかした。
「今までのが荒っぽくないとでもいうんですかっ!?」
と思わず叫びたかった晴子だったが、
日暮の言うとおり下手をすれば舌を噛みかねないほど振動が激しくなったので
ツッコミを入れるよりも振り落とされまいと
日暮にしがみつく方に神経を集中させた。
「ロックン・ロールッッ!!!」
日暮が楽しげにそう叫んだ一瞬後、一際激しい衝撃が晴子にのしかかった。
そして次に訪れた妙な浮遊感。
驚きのあまり目と閉じているのも忘れていた晴子は見てしまった。
自分の数メートル下で並んでいる数台の車と
自分の視界の中に急激に飛び込み、
そして過ぎ去ってゆく料金所のゲート。
日暮がバイクのスピードと自らのテクニックによって
高速道路の料金所を力ずくで有無を言わさず突破した
そのことを晴子の脳が認識するには数秒の時間を必要とした。
「う、うそでしょぉぉぉぉっ!!?」
晴子の心からの叫びは、轟くエンジンの爆音に儚くもかき消された。
「イィィィィヤッホォォォォゥッッ!!」
一方、上空の論悟組。
「すごーい、料金所、突破しちゃいましたねー」
幾分の感嘆をこめて、しかしあくまで他人事のようにアユムが呟く。
が、視線を日暮&晴子の乗るバイクの後方に目をやると
赤いランプを点灯させた白と黒のカラーリングの車が続いていた。
「ありゃ、パトカー来ちゃいましたねー」
当然である。
「おおっ、さすが日暮殿!!
相変わらず見事なバイク捌きですなぁ!!」
何台もの車が高速で行き交う道路を
さらに高速で次々と抜きさってゆく日暮。
それを見てクロロが感嘆の叫びを上げる。
高機動を誇るパトカーがなすすべもなく日暮のバイクにまかれてゆくのを見て
他の面々もそれぞれに感嘆の声を上げているが、
その中に心配とかそういう響きは全然なかった。
日暮が有無を言わさず爆走すること一時間。
地上組と上空組はついに合流することが出来た。
目の前にはなんだかむやみやたらとでかい屋敷が建っており、
今晴子達はその敷地の門と屋敷の入り口との
ほぼ中間部分で集合していた。
ちなみに門から入り口まではゆうに50メートル以上はあるように見えた。
「やあ、相変わらず見事なライディングだったね、日暮!」
論悟はヘリを降りて日暮の元に歩みよると
そう言って右手を差し出した。
「久々に心騒ぐ一時が過ごせました。
やはりバイクはいいものです」
そしていつものテンションに戻った日暮は
シニカルな笑みを浮かべて、差し出された手を握り返した。
「は・・・はは・・・は・・・」
既に精も根も尽きた様子で
バイクから転げ落ちるように降りた晴子。
(日暮さんって・・・二重人格!?)
今日一日で驚かなかった瞬間が果たしてあっただろうかというほど
驚き(あるいは恐れ)まくった晴子だったが、
彼女はこの瞬間、大事なことを失念していた。
そう・・・宴はまだ始まってすらいないのだということに・・・
BACK 小説トップへ トップページへ NEXT