はみ出しコーナー

ここでは直接本文で触れる機会がなさそうなだが、ちょっと気になる製品について述べていこうと思う。

KATO製EF58 61について

 さすがは最近のKATO、と感心させられる出来である。従来のモデルだと両面テープなどに頼らざるを得なかった国旗の支持方法も独特の手法で見事にクリアしている。パンタも専用のものを用意し、シューの先端や台座の成型色など細かいところまで気を配っている。目立つところでは、機械室の窓から見えるグリーンが非常に効果的である。ASSYパーツとして別売りされるだけの価値はあろう(もっとも、従来製品に関しては塗ればおしまい、という話も無きにしも非ず、ではあるが)。ただ、何故か車体枕ばり端面の形状が台形になっている。61はいわずと知れた日立製であり、当然実車の形状は長方形である。せっかく金型を新製したのだからこの部分もちゃんと修正しておいて欲しかった、と思うのは私だけであろうか。先代の61もこの部分は台形であった。余談だが、KATO製品でこの部分が長方形になっているのは歴代の製品を合わせても現行の上越仕様のみ、となっている。これはおそらく89を意識していたためではないか、と思われる。逆に、TOMIXはほとんどの製品が長方形となっており、60(御召予備)と前面Hゴム・よろい戸フィルターの製品のみである。これは、60は当然のこととして前面Hゴム車の方は157を意識したためであろう。こういった点からも、両社の58に対する姿勢が垣間見れるような気がするのは気のせいであろうか。この点以外は特に気になる点もない、いい出来に仕上がっていると思う。これで当鉄道にはEF58 61が3台在籍することと相成ってしまった…。

「お召列車1号編成」について

 「1号編成じゃなく新1号編成だべや?」というような突っ込みはさておき、ついに「メジャーブランド」から御召編成が発売されるという事態が実現してしまった。しかも、先行した有井よりも安い金額ではるかにクオリティーの高い製品を出すというとんでもないことをしでかしてくれたおかげで有井の製品は今後売れなくなってしまうではないか、という別にどうでもいい心配までしてしまうほどの出来である。屋根上パーツの別パーツ化、独特の溜色の表現、室内パーツの成型、連結器周りのディテール、どこをとっても文句のつけようのない出来である。しかも、ご丁寧にTR73台車はコロ軸受けである。これには恐れ入った。おかげでASSYパーツが出ても在来型客車には流用がきかないではないか…。まぁ、それは本質的なことではないのでさておき、唯一希望を出すとすれば、御料車新1号の金帯を凸モールドにしてホットスタンプにして欲しかった、という点くらいだろうか。とにかく、KATOの本気を垣間見せてくれたすばらしい「作品」といっていいと思う。そう、これはもはや「作品」といっていいレベルであろう。一応台車の関係で有井や今はなきワールドの製品とは差別化が図れているといえば図れているが、おそらく「決定版」となるであろう作品が出てきたことは実に喜ばしいことである。

マイクロエース、その功罪

 私ごときがこのようなことを語っていいものなのかどうかはさておき、他のメーカーに関しても苦言を呈している以上、やはりこのメーカーにも一言言っておきたいことがある。このメーカーには在来型客車に関してのまともな知識がある人材が本当にいるのかどうか極めて疑わしいといわざるを得ない。御料車1号の窓天地幅に続き、今度はスロ54の台車が何故かTR23になっているという不思議な青大将セットを販売してくれた。ハナから買う気も予定も財源もなかったので別にどうでもいいといえばいいのだが、もはやここまで来ると犯罪的である。確かに、今まで別のメーカーが出してこなかった隙間部分を埋めてきた姿勢というのは評価すべきであろう。特に、旧型電機や蒸機、最近の特急車両など、次々にリリースしてきたそのバイタリティーは賞賛に値する。ただ、このメーカーはどうも全体的につくりが甘いというか、一世代前のつくりのように見えてしょうがない。特に最近のKATOやTOMIXのモデル(別にHG仕様の車両でなくても一般の製品に比べても)に見慣れてしまっている身としては少々トイライクな点が気になる。それだけならともかく、今回のようなミスが多々見受けられるというのが非常に気になるのだ。まぁ、私が専門的にやってる分野の車両で立て続けにミスが重なっただけ、と思いたいが。
 今回の青大将に関しては、発表から発売まで随分と間がなかった。私が知らなかっただけかもしれないが。もしかしてその辺で詰めが甘くなったのではないだろうか。下衆の勘繰りかもしれないが、KATOの青大将よりも早く出そうというあせりみたいなものがあったのではなかろうか。そも、下り1番列車つばめという題材は、ネタ的には面白いかもしれないがはっきり言って汎用性もなくそれ単体としてしか使いようがない(編成的に見たら「はと」そのものといっても過言ではない)、私から見たら面白みのかけらもない製品に映るのだが。どうせ出すのなら、展望車もマイテ39 1を起こして、「正調派つばめ編成」(?)でも出して欲しかった。まぁ、これはあくまで私の個人的な願望であり、むしろマイクロのレベルでそんなものを出されても困るだけだが。結局のところはKATO製品待ちという状況は変わらず、多少とはいえ期待した自分がバカだった、ということであろう。哀れこの製品も恐らく中古市場でもだぶつく運命なのではなかろうか。とはいえ、この辺の話も、結局走らせてしまえば「細かい」部分は見えないから別に何でもいいといえばいいのかもしれない。思えば私も「ハイパーディテール崇高主義」に多少なりとも侵されているのかもしれない。そういったことに気づかせてくれるということが、私にとってのマイクロエースの最大の存在価値である。

追記:あとから写真を見て気が付いたのだが、何故かEF58が鋳鋼製台車をはいていた。もはや、何をかいわんや、といった感じである。いまさら言うまでもないが初日の下り「つばめ」を牽引したEF58 57は一般台車をはいていた。仮にも特定ナンバーを名乗るのならそのくらいのところはちゃんとあわせてほしいものである。ついでに言うと、スロ54のドア窓がHゴム支持(?)なのも少々納得いかなくもない。それにしても、この製品が馬鹿売れしているのが不思議でしょうがない。一瞬で量販店から消えたのでてっきり回収にでもなったのかと思ったら実は単純に売り切れていただけという。まぁ、おめでたい時代である。マイクロエースの製品は、どちらかというと丸いフォルムの、新しいタイプの車両に関しては結構いい線いってると思うのだが、どうしても私が対象としている時代のような、カチッとしたフォルムを要求されるモデルに関してはいまいち向いていない気がしてしょうがない。まぁ、どっちにしてもせめて台車くらいはちゃんとしたものをつけて欲しいものである。車号を実際の編成と同じ物にしたらいいとでも思ってるのなら大間違いである。

クロ157 最後の貴賓車

 ついにこの車両まで完成品が出るご時世である。しかも期待通りKATO製品である。出来も期待通りである。何も言うことがありません。ご馳走様です。
 ただ、これは不満ではないのだが、最近の完成品はレベルが高いあまりにユーザーが手を加える部分が少ないのが淋しいというかなんというか…。昔はちょっとした色入れや加工で手を加えることにより「自分の車両」に仕上げたものだが、最近の完成品だと手を加える部分を探すのが大変である。もちろん、製品の完成度が高くなるのはいいことではあるのだが…。たいした技術もない、安楽モデラーの戯言である。

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